1. 「高値で買うのが怖い」その感覚は、投資家として正常です
連日の「株価最高値更新」のニュース。
「資産が増えて嬉しい」と思う反面、ふとこんな不安が頭をよぎることはありませんか?
「今から買う分は、高値掴みになってしまうのでは?」 「定年直前に大暴落が来たら、もう取り返しがつかないのではないか?」
その「高所恐怖症」のような感覚は、守るべきものが増えた中高年として極めて正常な防衛本能です。どうかご自身を責めないでください。
私は金融の専門家ではありませんが、投資歴は約18年になります。
サブプライムショックやリーマンショックなどの大きな暴落も経験しましたが、ここ15年間は一度も投資で負けていません(マイナスになっていません)。
そんな実体験から、結論を申し上げます。
どれだけ株高でも、積立投資(ドルコスト平均法)は今すぐ停止せず、そのまま継続してください。
一見、安全策に見える「積立停止」ですが、実はそれこそが資産形成における「最も勝率の低い賭け」になり得るからです。
今回は、株高でも継続すべき「3つの論理的理由」と、私たち世代に必要な「本当のリスク管理術」についてお話しします。
2. 株高でも「積立投資を止めない」3つの理由
「安く買って高く売る」のが投資の理想ですが、積立投資において「今が高いか安いか」を判断しようとすることは、実はあまり意味がありません。
むしろ有害ですらあります。
なぜ、現在のような株高局面においても、積立投資を止めるべきではないのか。
精神論や根性論ではなく、「構造」と「仕組み」に基づいた3つの理由から解説します。
2-1. 理由1:株価における「最高値」は「暴落の前兆」ではない
私たちは日常生活の感覚で、つい「上がったものは必ず下がる」と考えてしまいがちです。
投げたボールはいずれ落ちてきますし、野菜の価格も季節が変われば下がります。
しかし、インデックス投資が対象としている「世界経済(株式市場)」に、この物理法則をそのまま当てはめてはいけません。
資本主義経済において、企業は利益を追求し続け、技術は進歩し、世界人口も増えています。
つまり、経済が成長を続ける限り、株価は右肩上がりで推移し、「最高値を更新し続ける」のが正常な状態なのです。
過去の米国株(S&P500)のデータを見ても、最高値を更新した直後に投資を始めたケースでさえ、1年後、3年後、5年後にはプラスリターンになっていることが大半です。
- 誤解: 最高値 = 山の頂上(あとは下るだけ)
- 事実: 最高値 = 成長の通過点(まだ登り坂の途中)
「最高値=暴落のサイン」と決めつけて市場から撤退するのは、みすみす成長の果実を捨てていることになります。
18年投資を続けてきた私から見れば、最高値更新は「異常事態」ではなく「日常茶飯事」なのです。
2-2. 理由2:ドルコスト平均法は「高値の時にブレーキを踏む」システム
ここが最大の誤解ポイントであり、積立投資の強みでもあります。
「高い時に買うのは損だ」と思っていませんか?
あなたが設定している定額積立(ドルコスト平均法)は、実は非常に優秀な「自動ブレーキ機能」を持っています。
毎月決まった金額(例:5万円)を購入するということは、以下のような調整が勝手に行われているのです。
価格が安い時
- 5万円で「たくさん(多くの口数を)」買える
- アクセルを踏んで、仕込み量を増やす
価格が高い時(現在)
- 5万円で「少ししか(少ない口数を)」買えない
- ブレーキを踏んで、高値掴みを抑制する
つまり、あなたの積立設定は、今の株高局面において「今は高いから、少ししか買わないでおこう」という慎重な判断を、あなたに代わって自動でやってくれているのです。
もしここで積立自体を止めてしまったらどうなるでしょうか。
将来、暴落して価格が安くなった時に、「安値で大量に仕込む」というドルコスト平均法の最大のメリット(リズム)まで崩すことになります。
今の積立継続は「高値掴み」ではなく、システムによる「リスクコントロール中」だと捉えてください。

3-3. 理由3:「暴落したら買う」は、理屈では正しくても実行が極端に難しい
「今は一旦売却して現金化し、暴落したら買い戻せばいい」
そう考える方もいるかもしれません。
しかし、これは投資のプロでも失敗する“タイミング投資”であり、個人投資家にとっては最も難易度の高い戦略のひとつです。
私の個人的な経験から見ても、この戦略を安定して実行するのは現実的とは言えません。
① 置いていかれるリスク(機会損失)
「暴落したら買おう」と待ち構えていても、暴落が来るとは限りません。
もし、待っている間に株価がさらに10%、20%と上昇してしまったらどうでしょう?
あなたは「あの時売らなければよかった」と後悔し、さらに高くなった価格で買い戻すことになります。
これを「機会損失」と呼びます。
② 恐怖で動けなくなる心理
そして、いざ本当に暴落が来た時、私たちは冷静に「買い注文」を出せるでしょうか?
暴落時のニュースは絶望的です。
「世界経済の終わり」「〇〇ショック、底が見えない」といった見出しが踊り、含み損が拡大していく中で、「買い」ボタンを押すことなど、人間の心理としてほぼ不可能です。
- 上昇時: 「高すぎて買えない」と悩み
- 暴落時: 「もっと下がるかもしれない」と怖くて買えない
結局、人間は感情がある限り、最適なタイミングで売買することはできません。
だからこそ、感情を排除して淡々と買い付ける「自動積立」だけが、唯一、暴落の底でも買い向かえる最強の手段となるのです。
3. 本当に恐れるべきは「積立額」ではなく「保有資産」
「積立を続けるか、止めるか」
20代なら「何も考えず続けろ」が正解ですが、老後が見えてきた私たちは違います。
しかし、その対策は「積立の停止」ではありません。
私たちが直視すべきは、毎月の積立額(フロー)ではなく、これまでに積み上げた保有資産(ストック)のリスク管理なのです。
3-1. 積立を停止しても「資産が減るリスク」は変わらない
不安の原因は、これから財布から出る5万円ではなく、すでに口座に入っている1,000万円や2,000万円ではないでしょうか?
もし明日、暴落で株価が半値になれば、積立を止めていようがいまいが、1,000万円は500万円に減ります。
入り口の蛇口(積立)を締めても、タンクの水(資産)が減るのを防ぐことはできません。
やるべきは「タンクの中身」の調整です。
3-2. 株式暴落が怖いなら「現金比率」を高める
ではどうするか。
積立というエンジンは回し続けたまま、増えすぎた投資信託の一部を売却(利益確定)して、現金を増やしましょう(リバランス)。
「カウチポテト・ポートフォリオ(手間をかけない長期分散運用)」の考え方を応用し、まずは「年齢」を目安に調整します。
【基準1:年代別・現金比率の目安】
- 40代後半(株式60~70%:現金30~40%) まだ攻めの時期ですが、教育費等の出費に備えて現金余力を持たせます。
- 50代(株式50%:現金50%) ここが正念場。
「年齢=現金比率」を意識します。暴落しても資産全体のダメージは半分で済みます。 - 60代前半(株式30~40%:現金60~70%) 定年前後は「増やさない」より「減らさない」が優先。
大胆に利益確定し、現金を厚くします。
【基準2:あなたの「性格」に合わせた微調整】
年齢の目安以上に大切なのが、あなた自身の「リスク許容度(性格や家計の強さ)」です。
もし今、日々のニュースやスマホの画面を見て、「ドキドキして仕事が手につかない」「夜、資産が減る不安で眠れない」という状態なら、それは年齢に関係なく「リスクの取りすぎ」です。
- 強気でOK: 暴落しても「安く買えるチャンス」と笑っていられる人
- 保守的に: 少しでも減るとストレスを感じる人
たとえ計算上の正解が「株式50%」でも、あなたの心が悲鳴を上げているなら、迷わず「株式30%」まで落としてください。
「枕を高くしてぐっすり眠れる割合」まで現金を増やすこと。
これが、相場から退場せずに投資を長く続ける最大の秘訣です。

4. 向こう5年分の「生活費(不足分)」を確保する
もう一つ、中高年が意識したい大切なポイントは、「今後5年以内に生活費として取り崩す予定の金額」を、あらかじめ現金で確保しておくことです。
若い世代であれば、生活防衛資金として「1年分」ほどあれば十分な場合が多いのですが、出口戦略を見据える年代では、「5年分」を目安にしておくと安心感が大きく変わります。
過去の暴落局面を振り返ると、株価が元の水準に戻るまでに、概ね3年〜5年ほどかかるケースが多いためです。
もし手元の現金が少ないまま暴落に入ってしまうと、生活費のために仕方なく安値で資産を手放すことになりかねません。
これは、できる限り避けたい状況です。
ここでいう「5年分の不足額」とは、生活費すべてではなく、「給与や収入などではまかなえず、資産から取り崩す予定の金額 × 5年分」を指します。
これだけの現金が確保できていれば、たとえ相場が大きく下がっても慌てる必要はありません。
「株価が戻るまでの数年間は、この現金で生活を支えられるから、資産は売らずに待てる」
そう考えられるだけで、心の余裕がまったく違ってきます。
相場の動きは誰にも読めませんが、手元の現金をどれだけ備えておくかは、自分自身で確実にコントロールできる部分です。
ここを整えておくことで、資産運用はぐっと安定していきます。
5. 暴落はいつか必ず来る。その時こそ「積立」が最強になる
- 株高は成長の証。 最高値更新に怯える必要はない。
- ドルコスト平均法が、高値掴みを自動で抑制してくれている。
- リスク管理は「積立停止」ではなく「現金比率の調整」で行う。
- 「5年分の取り崩し資金」があれば、暴落相場も余裕で待てる。
相場の天井も底も、誰にも予測できません。
だからこそ、予測不要の「積立投資」を選んだはずです。
約18年市場に居続けた私の経験から言えるのは、「一喜一憂せず、淡々と市場に居続けた人が報われる」ということです。
暴落への備え(現金確保)さえしておけば、株高も暴落も怖くありません。
豊かな老後に向けて、今月も淡々と積み上げていきましょう。
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